友達に梨木香歩の「家守綺譚」を借りて読んだ。
と~~~っても面白かった。
駆け出しの物書きで大学の学士である主人公が
早世した学友、高堂の実家に「家守」として住むところから始まる。
ある日、床の間の掛け軸から その高堂がボートに乗ってやってくるのだ。
日常の生活の中に あの世とこの世が重なりながら
移ろう季節の中で 物語が進んでゆく。
河童が出てきたり、狸や狐に化かされたり
庭のサルスベリに想いを寄せられたりして
独特のファンタジーにどんどん惹きこまれた。
時代背景は 明治くらいだろうか。
読み終わって、亡くなった祖母の事を思い出した。
祖母は良く 狸や狐に化かされる話をしてくれたからだ。
中でも面白かった話をひとつ。
若かりし頃、祖母と祖母の姉が
夜、近所の家からの帰宅した時だった。
満月の夜だった。
当時は街灯などなく、それでも月の明かりで十分歩けたそうだ。
どこからか三味線の音が聞こえたので
音のする方を見上げると
近くの誰それさんの家の瓦屋根に
綺麗な着物をきた「猫」が、
三味線を弾いていたそうだ。
「うっそだぁ~!!」私達三人姉弟の反応。。。。。
そして、フッとその家の庭に目をやったところ
庭では別の「猫」が
たらい桶に水を張り 洗濯をしていたそう。
「で? それで ばあちゃん達はどうしたの??」
「そりゃ~、二人で 『おっかねえ、おっかねえ!』って逃げ帰ったさ~。」
「ははははー!」
でも、いま考えると
二人の目で見てるんだよなぁ!
それも、話しをしているのは見た本人である。
その上、この話には子供に対しての道徳的な教えも何も無い。
無理に見い出すとしたら 夜は出歩くなといった所か。
しかし私の祖母は 決してそんなタイプではないのだ。
「家守綺譚」を読み終えた今、
にわかに、
昔は本当に何か別の世界がクロスしていたのかもしれないなぁ~
などと想像して ふふふとニヤつくのである。
[2回]
PR
COMMENT